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「スポーツ基本法」をどう理解すればいいか

スポーツ基本法研修会

  • 平成23年8月4日19時00分~21時00分
  • 府中市生涯学習センター 生涯学習スポーツ課会議室
  • 市民スポーツ&文化研究所 代表 森川 貞夫(日本体育大学名誉教授)氏

「スポーツ基本法」をどう理解すればいいか
         ~「スポーツ振興法」から「スポーツ基本法」~
 
*「スポーツ振興法」体制下の日本のスポーツ状況

   「スポーツ実施率」と「スポーツクラブ加入率」

     ・内閣府の調査では、1972年からの30年間で、スポーツ人口は増えてきた

     ・組織スポーツ人口(スポーツクラブやスポーツの団体に所属している人の数)は
      ここ十数年ほとんど変わっていない

      ・・・総合型地域スポーツクラブが出来ても組織スポーツ人口には影響がない

   「スポーツ施設」の実態
 
     ・体育スポーツ施設の設置数は1969年から1998年までは増えているがそれ以降は
      減っている

     ・特に職場や民間の体育施設は1985年のピーク時に比べ1/3以下になってしまった

   「スポーツにおける格差」の拡大(「二極分解」を推測する)

     *スポーツ活動への参加・消費の実態(『レジャー白書2010』より)から判ること
 
       ・普及度の上位を占めるのは、体操(器具を使わないもの)・ジョギング・
        マラソンなど一人で出来て、安くて、特定の場所がなくても出来るもの

       ・スポーツの種目によっては参加率が低いのに、年間活動回数が多いものもある

        ・・・良くやる人はとても高い頻度でやるが多くの人が全くやらないということ
 
       ・健康志向的なスポーツは増えているがお金のかかるものは減っている(二極分解)

     *子どもの外遊びの時間がとても減ってきている

     *小学校→中学校→高校と年齢が上がるにつれて、スポーツを全くやらない子どもが、
      急激に増えている

     *スポーツクラブなどに入っている子どもは高頻度でスポーツをしている(二極分解)

    →子どもが小さいうちは、一種目にこだわらず、いろいろな遊びを体験させたほうが良い

1.スポーツ振興法成立の経緯

    1961年、衆院文教委員会により、1964年東京オリンピックを成功させるために成立
 
     *アジア初のオリンピックに向けて
      ・選手強化
      ・体協への補助金支出(国庫から民間団体への支出)を可能にする
     
     *議員立法であるが故の歴史的弱点
       ・・・有志議員の提案なので政府が責任をもたない 

2.スポーツ振興法の基本的問題点

  (1)基本的性格

    *立法の方針が基本綱領の顕示で、実体的措置の規定ではない・・・他の法律と違う

      ・振興のための措置に関しては施策の基本を掲げるのみで、その措置の実施に
       かかる実体的規定に関しては特段の定めがない
      ・・・『努めなければならない』という任務規定はお役所言葉で「やらない」ということ

     ・スポーツ振興審議会等の機関の設置や補助金交付に関する規定はある
      ・・・唯一の実体的規定

    *国はスポーツ振興計画策定に関して2000年まで無策だった

     ・スポーツ振興法は社会教育法の下位法
      ・・・社会教育法第2条(体育及びレクリエーションの活動を含む)

  (2)スポーツ概念

     ・体育(教育)的臭い(1条、2条)
 
       !体育は教育であり、自由自発的に行なうべきスポーツとは違うはず

       !本来スポーツはプレー(遊び)であり、スポーツそのものの文化的価値を求めて
        するもので、結果として健康になり、精神衛生にも良いものである

     ・プロスポーツ(国民の見るスポーツ)の排除(3条)
   
  (3)社会教育法との比較

     ・「すべての国民」ではなく「ひろく国民」である

      ・・・すべての国民がスポーツをする権利を定めたものではない

     ・「適性及び健康状態に応じて」スポーツをするための条件整備(3条)

      ・・・適性がなければやってはいけない様にもとれる

     ・「実際生活に即して」(社会教育法3条)が欠落

  (4)専門職制度の確立を阻害する

     ・体育指導委員制度の固定化とボランティア的スポーツ指導者による「安上がり
      スポーツ行政」を補充する役割

     ・・・学校には教師、図書館には司書、博物館・美術館には学芸員、社会教育には
        社会教育主事という法的根拠を持つ専門職がある

     !スポーツ指導者は命を預かるものなのに、専門職(国家資格)ではない

  (5)スポーツ施設の整備基準の曖昧さ

     ・「国及び地方公共団体が政令に定めるスポーツ施設を政令に定める基準にまで
      達するように整備に努めるべし」という「訓示規定」があるが、いまだにその
      基準を定める政令が出されていない
 
     ・・・スポーツ基本法ではこの基準を定める政令の文言がなくなっちゃった

     ・1972年保健体育審議会において「体育・スポーツの普及、振興に関する
      基本方策」の整備基準を策定

     ・1989年保健体育審議会「21世紀に向けたスポーツの振興方策」では、国の
      スポーツ施設設備の責任を地方自治体に転嫁

森川先生の考え
  
☆スポーツが文化として社会的に認められていないのが残念である

☆スポーツ人口を増やすには学校施設を地域にも使えるようにする必要がある。

 ・ほとんどの学校にはグラウンド。プール・武道場がある
  これを地域にどう広めるか?地域住民が使えるようにするにはどうすればいいか?

   →学校活動に支障のない程度という限定がある限り難しい

 ・最近では初めから地域に開放する目的で作った学校施設もある
  ・・・学校用の入り口と一般用の入り口を分ける、使用時間のすみ分け等の
     工夫がされている

体育指導委員がスポーツ推進委員に変わり、スポーツ推進に関して積極的に関わろうとすれば、意味のある活動が出来るというお話でした

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